あー……
          もしかして、あたしは……

          勝真さんのことが好き、なんだろうか……?



          うわあああ!
          なんだか考えると、ものすごく恥ずかしい……!!



          昨日も、あの後とか妙に意識しちゃったしね……
          (勝真さんが気付いてなかったのが、せめてもの救いですよ……)















          「?」

          「!?」


          あー! 心臓に悪い人だなぁ、もう!!






          「……? どうかしたのか?」

          「い、いえ……」


          このまま変な態度とってたら、勝真さんが嫌な思いするかも……
          ここは落ち着くのよ、!!



          …………。



          ……お、落ち着けた!
          やれば出来るんですね!!









          「アイツらがお前に会いにきてるぞ」
 
          「アイツら?」

          「高倉花梨と源泉水殿」





















          「花梨ちゃーん!泉水ーー!」

          「あ、さん!!」

          「殿」


          二人がわざわざやって来るなんて……





          「どうしたの? 何かあった??」

          「あ、あの、さん」

          「ん?」

          「これから一緒に、五行の力を高めに行ってもらえませんか?」


          五行の力?





          「もちろんいいよ! でも、どうして急に?」

          「あの……この間、勝真さんが
           シリンがぬえ塚によく現れるらしいって言ってましたよね?」

          「あ、そういうばそんな事を言ってたような……」


          忘れてた……!!





          「深苑くんが調べてくれたんですけど、
           あそこに怨霊がいるみたいで……」
 
          「その怨霊が、院を呪詛しているとのことなのです」

          「え! 本当!?」


          大変じゃない!!






          「はい……すぐにその怨霊と戦おうとしたんですけど、
           紫姫と深苑くんに止められちゃって」

          「花梨殿が、造花を使って
           五行の力をしっかり高める必要がおありとのことでした」

          「なるほどー……ところで、造花って何?」

          「あ、造花っていうのは……」


          それから、補足も加えてこれからやるべき事を
          花梨ちゃん&泉水から説明してもらった。
          (ちなみに、造花っていうのが何なのかも教えてもらった!)


          つまりは、予想通りぬえ塚に呪詛の元凶があったと。

          そして、その怨霊を倒すのが目的で、
          そのために力を蓄えたいから、五行の力を高めていくと。



          で、最終的に今日やる事ってのは、
          その辺の雑魚怨霊を倒していったり具現化することらしいよ。









          「わかった! じゃあ、あたしも行くよ」

          「ありがとうございます!!」


          やっと“牡丹の姫”らしくなってきそうだしね!!





          「それに、具現化ならあたしも出来るよ!」

          「え、そうなんですか!?」

          「うん!
           ……あ、ほら。これ、具現化して手に入れたお札だよ」

          「ホントだ……!」


          あれって神子しか出来ないのかと思ってたよー。

          でも、神子を援助するのが役目なんだし、
          神子の能力に近いものは持っているのかもね。





          「じゃ、あたし勝真さんに出掛けるって伝えてくるから、
           ちょっとだけ待っててくれる?」

          「はい!」















          「勝真さーんっ!」

          「あ、様……」


          あれ? 勝真さんのお世話してる女房さん?





          「勝真様なら、先ほどお出掛けになりましたわ」

          「え? お仕事ですか?」

          「ええ……本当に、たった今でしたのよ」


          そっか……





          「入れ違いになちゃったんですね」

          「はい……」


          それなら仕方ないか。





          「それじゃあ、あたしも出掛けてきますね」

          「様はどちらへ?」

          「いろんな場所へ行くかもしれないです。
           そんなに遠くへは行きませんから、遅くならないと思います」

          「かしこまりました、
           勝真様がお帰りの際にはお伝えしておきます」

          「はい、お願いします!」


          でも、あんまり遅く帰るとまた怒られそうだな〜……。













          「花梨ちゃん、泉水!お待たせ」

          「じゃあ、行きましょうか」

          「そうだね! ところで、何処に行くの?」

          「火の力を高めたいので……祇園社に行こうと思ってます」


          祇園社かぁ……やっぱり、院の力が強く影響している土地なのかな?
          (まだ地理が把握しきれてないから曖昧です……)





          「その地と同じ属性の人を連れて行くと、
           具現化しやすいんですよ」

          「へぇー! そういえばあたしって……」

          「火属性です!」

          「なるほどね」


          だからか!





          「イサトくんも火属性なんですけど、
          なんだか上手く具現化できなくて……」

          「ふーん、なんでだろうね?」

          「たぶん、祇園社はイサトくんの好きな場所だから……
           具現化に集中できないのかもしれません」


          そういうものなのかぁ。





          「花梨ちゃんは何属性なの?」
 
          「私は水属性です」

          「へぇー!
           ……もしかして泉水も水属性だったりする?」

          「ええ。よくお分かりになりましたね」

          「え、あ、うん……ただの勘だよ」


          永泉さんが水属性だったからだなんて、
          説明しても意味不明だよね……。














          「……あ、ところで、ぬえ塚の怨霊とはいつ戦うの?」

          「明日です」

          「明日!?
           それって、あたしも一緒に行っていい?」


          なんだか心配だし、
          そういうときこそお役目を果たさないといけない気がするし……。





          「はい、ぜひお願いします!」

          「私も、殿にご一緒して頂けると、良いと思います」


          なんだか、そんなに頼られると嬉しいな。





          「よーし、具現化だろうが怨霊だろうが
           この様が全部片付けちゃうよ!!」
 
          「わぁ、さん、カッコいい!!」

          「でしょ?(笑)」

          「はい(笑)」


          これまでの花梨ちゃんの行動をまとめると、
          怨霊に力を与えている朱雀、そして青龍を解放した。

          で、その怨霊ってのは、ぬえ塚にいる怨霊ってことだよね?
          その怨霊は院を呪っているわけだから……


          明日、無事に怨霊を倒すことが出来れば、
          なんだか一段落つきそうだね。










          
『八葉は、“最初は”花梨ちゃんに冷たいんだよね』


          ってことは、裏を返せばだんだん優しくなってくるということで……

          もしかすると、その次は花梨ちゃんが帝側の人と、
          一緒に行動していくのかもしれない。

          ……攻略本、途中までしか見てないから、ただの予想だけどね。





          「でも、そうでもしないと帝側の人とのエンディングとか
           狙えないと思うわけですよ、あたしは」


          やっぱ、明日がキーだってことだね!!











          「さん?どうかしたんですか??」

          「あ、ううんっ!何でもないよ」


          とにかく、今は花梨ちゃんと一緒に具現化に集中しよう!!


          まだ“牡丹の姫”として何が出来るのか、
          ちょっとしか分かっていないけど……

          出来ることからやっていくよ。
          だって、全て一度には出来ないもの。












          “牡丹の姫”について、ちょっとしたまとめ。


          怨霊の気配を感じ取れる! 扇で攻撃が出来る!

          しかも術が出せる! あと具現化が出来る!


          こんなところかな?










          ……あ、ちなみにけっこう暗くなっていて、
          さらに勝真さんより遅く館に帰ったあたしは
          その勝真さんにお説教されたのでした………。
          (でも、仕方ないじゃない!!)

          だけど、心配してくれてるんだよね……






それはやっぱり嬉しいな……