「突然のことで申し訳ありません。
お話がありまして、寄らせて頂きました。
八葉のことでこちらにうかがうとお約束していましたね」
あれ……?
「彰紋くん!」
「さん……あなたもこちらへ?」
「あ、うーん……
ってか、あたしも花梨ちゃんたちと一緒に、
院を呪う怨霊を退治してきたの」
「なるほど……あなたは“牡丹の姫”ですからね」
「うん!」
彰紋くん、“牡丹の姫”のこと、それなりに信じてくれてるみたい!
なんだか嬉しいな。
「へぇ……怨霊を退治してきたのか」
「うん、そうそう」
「今朝、『買い物に行くんです!』とか言ってたのは
どこのどいつだったっけなぁ……?」
「え?」
う、うそ……
「かかか、勝真さんっ!?」
「よぉ、。お前こんな所にいたんだな」
ぎゃあああ!! なんでいつもこんな展開なの……!?
(あたしだけ怒られてばっかりだよ本当!!)
「……まぁ、お前への説教は後だ」
ってかお説教、決定事項なんだ……!!??
「え、えーと……
勝真さんに、彰紋くん。翡翠さん、泰継さんも。
どうして、みなさん一緒に?」
「館の前で偶然に会ったのだよ。
同じ話のようだから、一度に済ませてしまったほうが君も楽だろう」
それでその後は、帝側の八葉(地の四神)が
帝を呪っている怨霊を退治するのを手伝ってほしいと言ってきて……
ただ、花梨ちゃんのことを
龍神の神子だって認めたわけでもないみたいだ。
(いや〜、ホントに遙か2のみんなって疑り深いよね〜……
って疑いすぎだろ!!)
それなのに、花梨ちゃんは泉水も初めから信じてたわけじゃないから
「仕方ない」って言ってるし……
なんていい子なの……!!
「ところで、先ほどから気になっていたのだが」
「何ですか、翡翠さん?」
「そちらの女性はどなたかな?」
「え? あたし??」
あー、そういえば翡翠さんと……あと、泰継さんとは初対面だっけ。
「初めまして、あたしはと言います」
「、か。可愛らしい名前だね」
あー……はいはい。
(ちなみにあたしは、
こういうので慌てたりする可愛い女ではありません。あしからず。)
「龍神の神子を援助する、牡丹の姫というお役目を頂いてます」
「牡丹の姫か……」
「泰継さんは知ってるんですか?」
「書物で読んだ程度だ。詳しいことは知らぬ」
「そうですか……」
まぁ、そうだろうね。
星の一族の紫姫だって、詳しいこと知らないんだから。
「とりあえず、あたしも花梨ちゃんの手助けをします。
ご一緒することもあるかと思いますが、よろしくお願いしますね!!」
「ああ、よろしくね、」
よーし、頑張らなきゃね!!
「……とりあえず、今日はもう遅いし明日からよろしく頼む」
結局、本格的に行動を開始するのは明日から、
ということになった。
「……おい、帰るぞ、」
「え? あたしもですか……?」
「当たり前だ」
一緒に帰ると、確実にお説教コースじゃないですか……!!
「ほら」
「え? ちょ、待って……!」
ずるずる……
何この引きずられている状態は……!!
「さん、大丈夫かなぁ……」
大丈夫じゃないよ、助けて花梨ちゃーん!!
「地の四神のみなさまが来てくださいまして、よかったですね」
「地の四神って?」
「先ほどいらした勝真殿、彰紋様、翡翠殿、泰継殿の四方のことですわ。
天の青龍、地の青龍というように同じ四神の力を受けていても、
八葉は天地に分かれます。
そのうち、地の側面を表す八葉の四名を地の四神と呼ぶのです」
「大して天の側面を表す八葉、泉水殿たちを天の四神と呼ぶ」
「これで、八葉が全員そろい、
帝を呪う怨霊を祓う協力も約束してくれました」
「しかし、まだ神子とは認められていない。大丈夫なのか?」
「神子様とご一緒していればきっと、すぐにわかってくださいます。
ですが、一度にみなさまと仲良くなるのも大変でしょう。
神子様はどなたとご一緒するのが良いと思いますか?」
「誰と一緒がいいかって……?」
泰継さんは、ちょっと話しにくそうだし……
翡翠さんはやる気があるのか無いのか……
勝真さんは……さんのお世話をしてくれてるんだよね。
私についててもらったら、さんが一人になっちゃうもの……
「親切そうな彰紋くんかな」
「解りました。
では明日、彰紋様に来ていただくよう文を出しておきます」
「それぐらい、神子自身にやらせてはどうなのだ」
「いいのです。私がしたいのですから。
では、神子様、私どもも失礼いたします」
ってか、予想通り、
これから帝側の人たちと一緒に行動するのね、花梨ちゃん!!
「さすが、あたし!」
予想的中!!
「嘘ついといて何が“さすが”なんだ?」
「えっ、いや、その……」
ひええええ!!
勝真さん、いたんだった……!!!
「……何やってるんだ。帰るぞ、」
「え、あの……」
お説教はナシ?
「……この間、俺が言ったこと覚えてるか?」
「え……?」
この間、って……
「お前が……遅く帰ってきたときの事だ」
「あ……」
『ただ心配だったんだ……無事で、良かった………』
あのときの……。
そっか、勝真さんは怒ってるんじゃないんだ。
心配……してくれてるんだ………
「勝真さん……ありがとうございます」
「……? 何の事だ?」
「心配してくれたんですよね? だったら、お礼を言わなきゃ」
「……」
『ううん、だって心配してくれたんですよね?
じゃあ、お礼を言わなきゃ。ありがたいって、思うもの』
「……。(最初に逢った日も、コイツは言っていたな……)」
“ありがとう”は、思ったときにちゃんと言いたい。
伝えられるときに、伝えておかなきゃね。
「じゃ、帰りましょう、勝真さん!」
「ああ……そうだな」
「……
やっぱりお前は……あたたかい奴だ………」