「そーいえばさ、泉水って何歳なの?」
「私ですか? 私は十九です」
ふーん、やっぱ年下なんだぁ……
まぁ、一つしか変わらないけどね。
「殿の方が年上でいらっしゃいますから、
先ほども申しましたが、どうぞお気軽にお話しください」
「うん、ありがと!」
「……あ、この辺りが左京八条ですよ」
「本当?」
うわー、ってか改めて見ると本当に京だ!
感動ですよ!!
「どうもありがとう、泉水。ここで大丈夫だよ」
「で、ですが……」
「平気だって! じゃあ、またね」
「は、はい。では、失礼致します」
さてと〜。勝真さんは何処かなーっと……
「お前……さっきの奴か?」
「あ! 勝真さん!!」
とてつもなく、グッドタイミング!!
「こんな所でどうしたんだ?
泉水殿の所に行ったんじゃ……」
「はい、泉水殿にはお会いできました!
龍神の神子を名乗る子にも会えましたし」
これも勝真さんのおかげだよね!
「そうか、良かったな」
「はい!」
「……!」
「……?
どうかしました……?」
勝真さんの様子がおかしいような……
「な、なんでもない!」
「そうですか? なら、いいですけど……」
「そ、それよりだ!
さっきも言ったが、何故ここにいるんだ?」
「勝真さんを訪ねてきたんですよ。
さっき、色々と助けてくれたじゃないですか。
だからお礼を言おうと思って」
まぁ、馬で突っこんできたところはいただけないけどね。
「それで、わざわざ来たってのか?こんな時間に……」
「こんな時間って、まだ夕方じゃないですか」
あたし(若干)不良娘なんで、夜は遅いんだよねー。
一人暮らしをいいことに、遅くまで帰らないの。
「何言ってるんだ!
女が一人で出歩く時間じゃないんだぞ!」
「え、で、でも!
ついさっきまで泉水殿も一緒だったし……!」
まさか、そこまで怒るなんて思わなかったよ……
「……そうか、それならいい」
「勝真さん……
…………ありがとうございます」
「……礼なんていらないぜ」
「ううん、だって心配してくれたんですよね?
じゃあ、お礼を言わなきゃ。ありがたいって、思うもの」
それに、あたしのこと女扱いしてくれた……
なんだか、すごく嬉しい…………
「……おい? どうした?」
「いいえ、何でもないですよ!」
「そ、そうか」
「ところで勝真さん、お願いがあるんですけど……」
「何だ?」
とりあえず、住むとこ見つけないとね〜……
「何処か、あたしの住めそうな場所とかありません?」
「は?」
「だって、住むとこが無いといくらなんでもきついですよ」
野宿とか?
いや、あたし出来そうにないなー……。
「……住む所が無いんだな?」
「はい」
「解った、じゃあ俺の邸へ来い」
「え! いいんですか!?」
なんか、図々しくないか……?
「気にするな。それに、もともと俺が悪いふしもある。
お詫び程度になるだろう」
「いや、それだとむしろこっちがお詫びしなきゃな感じですが……」
まぁ、ここは甘えておこう。
……野宿は嫌なので。
「じゃあ、行くぞ」
「は、はい!」
勝真さんのお邸か〜、どんな所だろ?
「……そういえば、お前。名前は?」
「あ! まだ名乗ってませんでしたっけ!?」
すげー失礼だな、あたし……!
「申し遅れました、あたしはです!
何者なのかは……今は説明できません。後ほどに、また」
「……そうか。まぁ、その辺はまだ追究しないでおく」
「ありがとうございます」
「よろしくな、」
「はい!!」
勝真さんの腕には、龍の宝玉が無い。
とゆうことは、まだ八葉だって発覚してないんじゃないかな?
……だから、今は“牡丹の姫”については話さないでおこう。
そのうちきっと、八葉だって分かる日も来るだろうから。
その日まで………
「とりあえず、京について勉強しようかな。
特に、地理。それはある程度は把握しておきたいし」
やること山積みだな!
でも、頑張ろう!花梨ちゃんだって頑張ってるしね。
「着いたぞ」
「わぁ……!」
お邸だー!
紫姫の館もすごかったけど、ここもすごい!!
「……そんなに感動するほどでもないだろ」
「いいえ、感動します! 素敵なお邸ですし」
「……上流貴族の館には敵わないさ」
そうかなぁ……
「でも、あたしは好きですよ、勝真さんのお邸。
それに、あたしが求めてるのは上流貴族の暮らしじゃないですから」
とりあえず、雨風凌ぎたい……って感じだよね。
「……お前、不思議な上に変わってるな」
「そうでしょうか?
まぁ、“変わってる”ってのはよく言われるんですが……」
自分としては、普通なつもりなんだけどね〜。
「周知の事実なんじゃないか」
「失礼ですね! そんな事ないですよ、全く!!」
勝真さんの意地悪ー!
「まぁ、そう機嫌を悪くするな。
すぐに夕餉の用意をさせるから」
「わぁ、ご飯ですか! やったー!」
「……お手軽な奴だな」
何て言われてもいい!
あたしはご飯食べることが大好きだから!
「お前には……」
「はい?」
「俺の周りの奴には無いものがあるな……」
……そうなのかな?
「少なくとも、威張り散らしてる貴族なんかよりよっぽどいい。
お前のような奴の方が、俺は好きだ」
「えへへ、そうですか?
そう言ってもらえると、なんだか嬉しいです!」
とりあえず、嫌われてはいないみたい!
良かった良かった。
「明日からは、しばらく京を案内してやるよ」
「本当ですか!?」
「仕事がある日は連れてってやれないがな」
「それで充分です! よろしくお願いします!!」
よーし、これで花梨ちゃんの手伝いが出来るようになるかも!!
まずは、地理を覚えよう!!
「ところで、勝真さんって何歳?」
「二十歳だが……」
「え、同じですか!?」
「本当か!?」
驚いてる時点で、互いに失礼なんじゃないのかなぁ……?
ま、いっか。