そんなわけで、朝ごはんを食べたあたしは
昨日の約束通り、京を案内してもらうことにした。
「何処か行きたい所はあるか?」
「行きたい所ですか?そうですね……」
ぶっちゃけ何があるかも把握しきれてないから、
行きたい所とか聞かれてもなぁ……。
「勝真さんにお任せします!
とりあえず、知ってた方がいい場所とか案内してほしいです」
「そうか。わかった、任せろ」
「はい!」
「まぁ、まずはここからだろう」
「わぁ! すごい門!!」
おっきいよー!
「ここは朱雀門だ」
「おぉ、ここが!
この先に行くと内裏とかあるんですよね〜」
「その通りだ」
あれ、勝真さん、
あたしがやけに詳しくてももうツッコミ入れないことにしたのかな?
「図書寮とか行ってみたいな〜……」
「あそこは、お偉いさんしか入れないから無理だな」
「え〜、つまんないの〜」
つまりは図書館でしょ?
牡丹の姫についても、調べたかったんだけどね……。
まぁ、いいや。
あたしにやるべき事が出来たとき、それをしっかりやろう。
今は、まだ民間人ぶってようっと。
「…………あ、」
今、通りすがった男の子、何か落としてった……
「扇……?」
わぁ、綺麗な扇だなぁ……。
「勝真さん、これ……」
「あぁ、渡してやった方がいいだろう」
「ですよね!」
男の子は気付いてないみたいだし。
「待ってー!」
「え…?」
あ、すぐ気付いてくれた!
「ねぇ、これ落としてったよ。君のだよね?」
そう言って、あたしは先ほどの扇を差し出した。
「……あ、確かにこれは僕の扇です」
「はい、どうぞ!」
「ありがとうございます、ええと……」
「あ、あたしは、二十歳!よろしくね!」
今さらだけど、年齢を強調するのは、相手の出方を見るためですよ?
だって、みんな年相応じゃないんだもの。全く!
「僕は彰紋と申します。よろしくお願いします」
「うん!」
「ま、待てよ、……“彰紋”ってまさか…………」
あれ、勝真さん、彰紋くんのこと知ってるのかな?
……まぁ、地の朱雀だよね普通に。あと、じれっ隊。
「お、おい、! その方は東宮様だ!
そんな馴れ馴れしい口調だと失礼だぞ!!」
「えっ……!?」
そーいえば、そうだっけ!?
やばい、どうしよう……!!
「も、申し訳ありませんでした、東宮様!!」
「いいえ、そんな。どうぞ、砕けた形でお話しください。
僕の方が、あなたより年下ですので」
「で、でも……」
「むしろ、僕の方があなたを敬うべきなのです。
ですから、どうぞお気軽に」
「は、はぁ……」
寛大なんだなぁ……。
「じゃ、じゃあ……失礼させてもらって、
“彰紋くん”って呼ぶことにするね」
「はい。僕は“さん”とお呼びすることにします」
「うん!」
わー、東宮様とお知り合いになった!
「あ、ちなみにこの人は平勝真さんです!」
「……初めまして、東宮様」
「勝真殿ですか。あなたも、どうぞお気軽にお話しください」
「え?
で、ですが、さすがに“お前”とかはマズイんじゃ……」
うーん、でもあたし的には地の朱雀に敬語使ってる地の青龍の方が
すっげー違和感だよ、勝真さん。
「さんとお話されてるように、僕ともお話しください」
「そ、そうですか? じゃあ……“彰紋”って呼ばせてもらう」
「はい!」
わぁ、笑った彰紋くん、ちょー可愛い!
ってか、まず髪型が可愛い!
「彰紋くんは、ここで何してたの?」
「僕は、読書が好きで……。
これから図書寮に向かうところだったんです」
「えー! いいなー!!」
図書寮に入れるんだね!
まぁ、東宮様って偉いしね。当たり前か。
「さんも読書がお好きなのですか?」
「読書もまあまあ好きだけど、
どっちかって言うと調べ物が好きかな!」
「なるほど」
今日は微妙だろうけど、後で入れてもらえないか頼んでみよう!
「さんと勝真殿は何をしてらしたのですか?」
「あたしは、勝真さんに京を案内してもらってたんです」
「こいつ、京に不慣れなくせに変な知識はあるからな」
「変な知識とか言わないでくださいよ!」
知ってて損ないじゃん!
むしろ知ってた方がいい事じゃん!!
「悪い悪い」
「本当に反省してるんですか?もう……」
「さんと勝真殿は、仲がよろしいんですね」
彰紋くんが、にっこりしながら言った。
「え、そうかなぁ?」
「実際は、昨日初めて会ったからな……
何とも言えないが、とりあえずコイツは変だと思う」
「ちょ、なんですかそれ!
彰紋くんに変な印象を植え付けるの、やめてくださいよ!」
変な子だって思われちゃうじゃないの!
「だって、初めて会った奴にどなりつけるとか、
俺は何かと思ったぞ?」
「そ、それは勝真さんが馬で突っこんでくるから!」
「それにしたって、お前の対応もおかしいだろう」
「何言ってんですか!
彰紋くん、勝真さんの言ってることは信じちゃ駄目だよ!?」
「はい……ふふふ」
彰紋くん、笑ってるし!
もう、勝真さんのせいで絶対に変なイメージ付いたし!!
「ふふ。では、僕はこれで失礼しますね」
「うん!またね、彰紋くん」
「はい、それでは」
うおー!彰紋くん、ちょー可愛い!
かなり好きかも!!
「……はぁ。さてと、仕方ないから次、行くか」
「勝真さんが言えることですか?
まぁ、とりあえず行きましょうか!」
さて、次は何処かなーっと!