「ここ……一条戻り橋?」
「……なぁ、お前本当に京の人間じゃないんだよな?」
「だから、そう言ってるじゃないですか!
しつこいですよ、もう」
だけど、実際に見れば何処なのか分かる場所もある……ってこと。
まぁ、そんなこと言ったら(さらに)つっこまれそうなので
言わないけどね。
「ここは俺の好きな場所の一つなんだ」
「へぇ、そうなんですか」
「何故だか、落ち着くからな……」
「…………」
勝真さん、表情が優しくなってる……
本当に、落ち着く場所なんだな…………。
そうしてお互いに少し黙っていると、何かあたたかい感じがして……
「え……?」
「なんだ、この感じは……」
「これは……」
1つ目の心のかけらだ……
説明、しておこうか……。
「あの……勝真さん」
「何だ?」
「昨日……羅城門跡で、胸が痛んだって行ってましたよね?」
「あ、ああ……」
あれは、この京に巣くう怨霊の仕業……
「信じてもらえるかは解りませんが……
あれは、勝真さんが心のかけらを失った痛みだったんです」
「心のかけら……? なんだ、それは」
「あなたの心の一部です。
確かに失っても身体に異常はありません。けど……」
「…………」
「心の一部を失うって……とっても、哀しいことだから」
失ったままでいい、なんて、どうか考えないでほしい……。
「ちゃんと……ぜんぶ取り戻しましょうね?」
「……ああ、そうだな」
良かった……勝真さんも、解ってくれたみたい。
「あれっ?勝真じゃねーか!」
ん? この声って……
「あぁ、イサトか」
やっぱりですか! 天の朱雀・イサトくんだよ!!
わぁ、一日で天地の朱雀に出逢っちゃったよ、すげー!
「何してんだ?ってか、誰だコイツ?」
「コイツはって言うんだ。訳あって、今うちで預かっててな。
この辺の奴じゃないから、京にも不慣れなんだ」
「へぇ〜」
「初めまして、イサトくん! 、二十歳! よろしくね!」
確か、イサトくんも年下だよね?
「おう、よろしくな! 京のことだったら、俺に任せろよ」
ってか、イサトくん頼もしいな!!
「うーん、それにしても……」
「……? どうした?」
「イサトくん、背ぇ高くて格好いいね!」
「なっ……!?」
あ、赤くなった。可愛い!
「何言ってんだよ、お前!!」
「いや、普通に感想を述べたんだけど」
「つっても、俺の方が高いけどな」
「勝真も余計なこと言うんじゃねぇよ!!」
うん、勝真さんも高いよね〜。180あるのかな?
あたしなんか160も無いよ……157ですよ、えぇ。
「ってか、が小さいだけじゃねぇか?」
「ちょ、勝真さん! さっきから失礼すぎです!!」
「だよな! 勝真は一言多いよな!!」
「うん! 一言多いよ、勝真さん!!」
「あはは、悪かったって」
だから、反省してる感じしないんだってば!
「はぁ〜、全くもう……」
「、気にするなよ。お前はその……」
「ん?」
「そのくらいの背の方が……
か、可愛いから…………」
「え!」
なんか“可愛い”とか言われたんですけど!
イサトくん、紳士だ! ジェントルマン……!
(同じこと二回ゆってる)
「ありがとう、イサトくん! お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃねぇよ!」
「はいはい、ありがとう」
真っ赤になっちゃって、ホント可愛いな〜!
「じゃ、じゃあ俺は行くな!
またな、! 勝真!」
「うん、またね〜」
「後でな」
うわわ、朱雀っ子たち、すげー可愛いかも!
知り合いになれて良かった〜!
「……じゃ、今日のところはそろそろ帰るか」
「そうですね! お腹もすきましたし」
ゲーム的には、あと一箇所行けるような気がしないでもないけど、
まぁ、いいか。収穫はあったし。
「…………なぁ」
「はい?」
「イサトも言っていたが……
お前はそのくらいの身長でいいと思う」
「は、はぁ……そう、ですか?」
でも、もう少しほしいな……。
「あぁ。だから、気にするなよ?」
「……!」
勝真さん……気遣ってくれたのかな。
「……ありがとうございます、勝真さん」
「昨日も言ったが、礼を言われるようなことはしてないぜ」
「そんなことないです!」
昨日のも今のも、無意識にやってることなのかな。
もしそうだったら、すごいよね。そして、素敵だと思う……。
「自然と、周りの人のために動いてるってことだもの……」
見習いたい。あたしも、そうなりたい。
……なんて、いつになるか解らないことだけど。
「また案内してくださいね、勝真さん!」
「あぁ」
上賀茂神社とか行きたいな!
明日、勝真さんが大丈夫だったら頼んでみようかな?
「…………あれ?」
そういえば……イサトくんって院側の子だよね?
「今、何してるのかな……」
花梨ちゃん……