「これでよし……」
――午前中、万事屋にて。
今日は新八くんも神楽ちゃんもそれぞれ用があるらしく、
今ここにいるのはあたしと銀さんだけだった。
「……あっ、そろそろ出かける準備しないと」
いつも(銀さん以外の)みんなで分担している家事をひとりでこなし、
ひと段落したとき……
ふと時計に目を向けると、ちょうど頃合いの時間になっていた。
懐かしきぬくもり――エピローグ
「…………ん? オイ、お前どっか出かけんのか?」
「銀さん」
出かける支度をしている途中で、
さっきまでジャンプに夢中だった銀さんが声を掛けてきた。
「うん、そうなんだ」
「今日も仕事かよ?
確か沖田くんからの依頼は、昨日までだったはずだよなァ……」
それに、昨日まではもっと早く家を出てたし……
とかなんとか、銀さんはつぶやいている。
「今日はね、昨日までの依頼の報酬をもらう約束してて」
「報酬〜?
でも、昨日の帰りにもらってきたんだろ?」
「うん、でも、それとは別にね」
「……??」
あえて詳しく説明せずにいると、銀さんは不思議そうな顔をした。
それがちょっとかわいいな、と思いつつ……
教えてあげないのも意地悪な気がしたので、
改めて説明しようとすると。
ガラッ!
「さァ〜ん! 迎えに来ましたぜィ〜〜」
玄関のほうから、そんな声が聞こえてきた。
「あっ、来たみたい」
「えっ、何? ホントに沖田くんとの約束なの?」
「もう何言ってるの、銀さん! さっきそう言ったでしょ」
「いや、そーだけど……」
そんなことで嘘ついてもしょうがないのに。
全く、銀さんったら。
「とにかく、あたし総悟くんとお昼食べてくるね」
「それが『昨日もらったのとは別の報酬』ってワケか?」
「うん! じゃあ、行ってきます!」
「あっ、オイ、……!」
何か言いたそうにする銀さんだったけど、
約束してた総悟くんを待たせるのも、と思い、
あたしはそのまま玄関に向かった。
「総悟くん! ごめんね、お待たせしました」
「いえいえ、そんな待ってないんで平気でさァ!」
「それなら良かった。じゃあ、行こっか!」
「ええ!」
「(いやいやいや、ちょっと待って!!
アレ何!? 何なの、ねェ!?
いつの間に沖田くんは、にあんな懐いてんのォ!?)
……いや、アレはが懐かれた……って言うべきなのか?」
にしても、とにかく……
「あいつもまた、とんでもねー相手に懐かれたもんだぜ……」
まァ……いーことなのかもしれねェな。
「良かったな、……
また一人、ここで『知り合い』ができたじゃねーか」
――おまえの言う『知り合い』っつーのは、
信頼できる『仲間』のことなんだろ。
「報酬の分くらいは、しっかり美味いもん食ってこいよ」
小さくなるの背中に向かって、俺はそうつぶやいた。
To Be Continued...「あとがき(第五章)」