「なんか面白いことでも起きねーもんかねィ……」


     ある日の昼下がり――
     屯所の縁側で寝転がりながら、俺はそんなことを考えていた。



















懐かしきぬくもり――プロローグ


























          「……あ、土方さん、こんにちは!」

          「お、お前っ……来てたのか。
           今日はどーした?」

          「はい、今日は近藤さんからの依頼なんですよ」


          土方の野郎と話してるあれは……の姉上、さんだ。

          最近、野郎が定期的に依頼をしているからか、
          屯所で見かけることも少なくなかった。
          (今日はどうやら近藤さんの依頼みてェだが。)










          「そうか……まァ、がんばってこい」

          「はい、頑張って近藤さんの依頼をこなしてきます!
           土方さんも、またいつでも依頼してくださいね」

          「お、おう……また、連絡する」

          「はい、お待ちしてます!」


          そんな会話をしつつ、野郎は去っていき……
          さんも、(たぶん)近藤さんの部屋に向かって歩き出した。















          「それにしても、野郎はなんなんですかねィ」


          なんで彼女と話してるとき、あんなにどもってたんだ。
          ついでに、目も泳いでたし……

          仮にも真選組副長が、
          あんな落ち着きないってのもどうかと思いますがねィ……。







          「まァ、それはそれでいーか」


          もしかすると、
          野郎を副長の座から引きずりおろすいいネタになるかもしれねェ。

          なんか、いい案が浮かびそうだ。















          「……とりあえず、にこの話を持ちかけてみるかァ」


          そう思って、俺はの部屋に向かった。

































          「〜、入りますぜィ〜〜」

          「おー」


          一応声を掛けてから部屋に入ると、
          刀の手入れをしているの姿があった。










          「オイ、ー。
           ちょっと聞きてェことがあるんでさァ」

          「ふーん、何?」


          目線は刀に向けたまま、興味なさげに答えた。
          でもこいつはいつもこんな感じなので、俺も気にせず続ける。






          「さっき、さんが近藤さんの依頼で来てたみたいでねィ……
           で、近藤さんとこに行く途中で、土方の野郎にバッタリ会ってたんでさァ」

          「ふーん」


          で、なんか他愛もない話しをして別れてたけど、
          その間どもるわ目は泳ぐわで、野郎の様子がおかしかった。















          「一体どーゆーことですかねィ?」

          「は? お前そりゃあ、アレだろ。
           トシのやつ、お姉に惚れてるから」

          「…………は?」


          なんでもないという風に答えたの言葉に、思わずそんな声が出てしまった。

          野郎が、さんに惚れてる……?







          「いつから……」

          「いや、もうお姉が江戸に出てきたその日くらいから」

          「最初っからじゃねーですかィ」


          何やってんでィ、あの野郎……

          …………いや、でも待てよ。















          「……俺、いいこと思いつきやした」

          「マジか。まァとりあえず話は聞こう」

          「お願いしまさァ」


          これからの作戦を頭で整理しつつ、
          俺はその内容をに説明していくのだった。




















          To Be Continued...「第一話 その人は未だに測りかねる