「近藤さん!」
「三人とも来てくれたか!」
現場では近藤さんや他のみんなが、攘夷志士を相手に奮闘していた。
輪廻‐前世篇‐
「説明してるヒマはない!
とにかくコイツらを制圧するんだ!!」
「あァ!」
「了解でさァ!」
「任せてください!」
そうして私たちは、それぞれの方向に散っていく。
「幕府の犬がァァァ!!」
攘夷志士の一人が、後ろから斬りかかってきた。
でも……その程度で殺られる私じゃない。
「はァ!」
「ぐっ……!」
一太刀浴びせると、どさ、という音を立てて男は倒れた。
「背後からなんて……卑怯なやり方」
武士道を持っている奴らのはずなのに、
正々堂々と戦うことを忘れてしまったのだろうか?
「そんな奴らが、幕府を倒すなんてね」
笑っちゃうな……
「女ァ、ずいぶんと余裕だなァァァ!!」
「そうだね」
私を甘く見て斬りかかってきたその男も、
先ほどの奴と同じように倒れていった。
「ありがと」
思いっきり殺気を出してくれてたから、
簡単に居場所を察知できたよ。
「……これが今の日本なんだ」
ひどく、荒れている……。
「」
いつの間にか、総悟がそばまでやって来ていた。
「そっちは片付いたかィ?」
「うん、この辺はね。総悟が向かったとこは?」
「こっちもあらかた片付けたぜィ」
ここから見た限りだと……
近藤さんと土方さんのいる辺りが、数が多そうだ。
「向こうへ助太刀へ行くぜィ」
「わかった」
二人のいる所には攘夷志士のリーダーがいるようで、
かなり数が多いように感じる。
「苦戦してるみたいだね」
「急ぐぜィ、」
「うん!」
そう言い合った私と総悟が、走り出した……
そのときだった。
ドォン!!
「……!?」
爆音が響きわたった直後……
辺りは無残な姿へと変わってしまった。
どうやら、奴らが爆破攻撃をしかけてきたらしい。
「くっ……」
逃げきれず、私と総悟も爆発に巻き込まれた。
幸い大怪我はしていないが、無傷という訳でもない。
「総悟! 総悟、大丈夫?!」
「平気でさァ……の方こそ平気かィ?」
「うん……私は平気だよ」
まさか、こんな大規模な爆破までしかけてくるなんて……
これじゃあホントに、真選組が勝てるかわからないよ……!
「、諦めたらダメだぜィ」
「……!」
「奴らの思うツボだ。諦めるな」
あの独特な話し方じゃなくなっている、ってことは……
総悟は今、本気で話しているってことだ。
それなら私も……応えなければ。
「そう、だね……まだ諦めないよ」
「よし……行くぜィ?」
「うん!」
そうして奮起したのをあざ笑うかのように、
再び爆音が響きわる。
向こうの方で隊士のみんなが……
近藤さんや土方さんが、倒れていた。
「総悟……!」
すぐそばで総悟も倒れていて、私も……
大量の血を流していた。
「……」
「総悟……総悟……!」
「、大声を出したら……血が……」
「そんなのどうでもいいよ!
総悟が……総悟が死んじゃう……!」
誰の物なのかわからなくなるくらい、
辺りには大量の血が流れている。
「俺は……死なねェ……」
「……私だって死なない!
この国を……護、る…………」
総悟の言う通り大声を出したせいだろうか。
急に意識が朦朧としてきた。
「嫌だ……私……死ぬ、の……?」
「大丈夫だ、……
俺も一緒に逝くから……心配しなくていい……」
総悟……
「でも……あの子は……?」
「アイツは平気だぜィ、俺たちに似て強いはずだから……」
“俺たち二人の子供だぜィ? 心配いらねェ”
総悟は消え入りそうな声でそう言った。
私はそこで、悟ったのだ。
もう、二人とも助からないのだと。
「総悟……総悟、愛してるよ……」
「俺も……のこと愛してる……だから、」
一緒に逝こう
→輪廻-現世篇-