「……はぁ」


光を求めて歩き出した私。

もう何時間も歩いた気がするけれど、
光なんて何処にもなかった。





「やっぱり、ここは地獄……?」


本当に、何もないのかもしれない。
そこまで考えたけれど、それ以上は考えないようにした。





「っ……」


暗闇が怖い。
怖くて怖くて仕方がない。

私って、こんなに怖がりだったっけ……。










「お前は、」

「……!」


何処からか声が聞こえてきた。
でも、人がいる気配はない。





「誰か……いるの?」

「お前は……生きたいと思わないのか?」


そんなこと言われても、私はもう……死んでいるんだし。





「ここって……地獄でしょ?
 生きたいとか、そういう次元の話じゃない」


私は冷たく跳ね返した。

自分以外の誰かに会えた……
否、誰かと話が出来たというのに。

どうしてそれを、拒絶してしまうだろうか。










「お前は死んでねぇよ」


うそ、





「嘘じゃない。ただ、今は少し迷ってるだけだ」


嘘だよ……





「まだ生きることが出来る」


本当に……?





「オレを信じろ」

「……!」


そうだ、この声……





「この……声、は……」


そっか……
あなただったんだね。










「ねぇ、私……あなたに会いたいよ」


まだ死にたくない……
まだ、生きていたい……





「生きたいんだな?
 じゃあ、光の方へ来い」


――オレが、必ず助けてやるから。


そう、言われた気がした。





「光のほうへ……」


さっきまで光なんてどこにも無かったのに。

少し先に、ぼんやりと明るい場所が見える。





「……あそこだ」


あそこに行けば、きっと……





はやと、」


あなたに……
もう一度、会いたい――……












NEXT