「、おはよう!」
「あ、おはよう!」
学校に着くと、仲のいい友だちが声をかけてくれた。
クラスメイトということもあり、
そのままの流れで教室までの道を歩き出す。
「数学の宿題、やってきた?」
「少しだけ」
「あたしもちょっとやってきたんだけど、
あとの残り一緒にやらない?」
「うん、いいよ」
月曜日――今日からまた、新たな1週間が始まる。
「おはよう、!」
「よっス、!」
「おはよう!」
教室に入ると、クラスのみんなが次々に挨拶してくれた。
「ちょっとー!
だけじゃなくて、あたしにも挨拶しなさいよー」
「あはは」
友だちもみんないい子で、楽しい学生生活を送れている。
「ただいまー!」
「おかえり、」
学校から帰ると、お母さんが出迎えてくれた。
「今日はの好きなおかず、夕飯に出すわね」
「えっ、なんで?」
「いつも頑張ってるから」
「ありがとう、お母さん……!」
大好きなお母さん。
私の些細な悩みも聴いてくれるし、
こんな風に激励してくれたりもする。
よく気が付く人で、私の憧れの女性って感じ。
「ただいま」
「あ、おかえり、お父さん!」
少しして、お父さんも帰ってきた。
「、何か欲しいものはあるか?」
「なんで?」
「来月は誕生日だろう?
プレゼントを用意するために、教えてほしいんだ」
「あ、そっか……!」
来月には、私の誕生日も控えている。
お父さんに言われるまですっかり忘れていたけど、楽しみだな……。
「ありがとう、お父さん!」
「お礼はまだ早いぞ」
「あはは、そうだね」
こういうお祝いや、行事をとても大切にするお父さん。
そういうところ本当に素敵だと思うし、
お母さんもいい人と出会ったんだな……
なんて、たまに考えたりもする。
「、お父さん、ご飯よー!」
「はーい!」
家でも学校でも、毎日が幸せだった。
中には得意不得意もあるけれど、
自分なりに努力もしていたし。
とても、充実している日々だった、
……なのに。
そんなときに、私は出遭ってしまうのだ。
――黒い布をかぶって、大鎌を手にしているヒトに。
『お前は今、幸せか?』
「え……?」
学校からの帰り道、ふと誰かの声が聞こえた。
「……空耳かな」
辺りを見回してみても、誰かが居る様子はない。
それにしても、「幸せか?」だなんて……
「そんなの当たり前じゃない」
私は今、すごく幸せだよ。
きっと……恵まれているんだと思う。
「じゃあ……もう心残りは無いよな」
「え……!?」
さっきも聞こえた声がまた、すぐそばで聞こえる。
誰だろう、と思った瞬間、
ものすごい風が吹き荒れて……
振り返ると、そこには。
「こんばんは」
「っ……」
黒い布に、大きな鎌……。
まさか、これって……
でも、本当に……?
「もしかして……死神、ですか……?」
「ああ、そうだ」
ただの直感だったのに、当たった……
「オレは死神……死神のディーノだ」
「うそ……」
「嘘じゃねぇって」
で、でも……
「でもお兄さん、すごく優しそうだし……
死神なんて似合わないですよ?」
「ははっ、よく言われるんだよなーそれ」
――けど、本物だぜ?
金髪のお兄さん――ディーノさんは、
声色を低くしてそう言った。
表情は優しいままなのに、
その低い声に少し恐怖を感じて……
本当に本物の死神なんだと、分かってしまった。
「なんで、私のところに……?」
「死神がやってきてすることなんか1つだろ」
「……」
私は祈った。
予想が外れますように、と。
――だけど、それを裏切るように。
ディーノさんは片膝をついて私の手を取り、
綺麗に笑って言ったのだ。
「魂を頂きに参りました」、と。
ああ、やはりそうだった……
わたしの予想は、見事に当たってしまった。
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