『とりあえず、今日は帰るな』
そう言ったディーノさんは昨日、特に何もせず帰っていった。
私の死期については少しだけ余裕があるので、
今のところは安全だと最後に説明された。
「それにしても……」
色々と話を聞かせてもらったけど、
死神についてまだ曖昧だな……。
「〜!」
「どうしたの?」
「先生が、放課後に職員室へ来いってさ」
「分かった、ありがとう」
何の話だろう。
「……あ、ねぇねぇ」
「何?」
「『死神』ってどういうものだと思う?」
「死神ぃ〜?」
「うん」
あっ、なんだか変な目で見られちゃってる……。
「う〜ん……
なんか怖いイメージがあるかな〜」
『……お前は俺が、必ず護るからな』
「……そんなことないよ」
「えっ?」
「あっ、ううん! なんでもない」
いけない……
つい、ディーノさんのことを口走るところだった。
まあ、言ったところで信じてもらえないと思うけど……。
「でも、そっか……
やっぱり怖いイメージなんだね」
確かに、私も初めはそうだった。
「あと、魂を盗られるのかな〜って。
殺人とは違う気もするんだけど」
「……そうだね」
私の前に現れたとき、ディーノさんは
『魂を頂きに参りました』って言ってた。
「でも……」
正確には、護りに来たんじゃないのかな――……
「じゃ、よろしくな」
「はい、失礼します」
放課後。
友だちからの伝言通り、私は職員室に来ていた。
「気をつけて帰るんだぞ〜」
「はい」
先生からの用事も一通り聞き終わったので、
今日のところはもう帰ることにした。
「よっ」
「えっ……ディーノさん!?」
もうすぐ家が見えてくる、というところで。
突然現れたディーノさんに声を掛けられた。
少しびっくりしてしまったけれど、
笑顔で手を振るその姿に、少し安心してしまう。
「あ、そうだ……
ディーノさんに、聞きたいことがあって」
「ああ、なんだ?」
「昨日も説明はしてもらったんですが……
『死神』がどんな存在なのか、もう少し知りたいんです」
「……!」
私の質問が予想外だったのか、
それとも何か別の理由なのか……
ディーノさんは、何故か驚いている。
「す、すみません……!
あんまり詳しく知ったら、良くないですよね」
企業秘密みたいなことも、あるだろうし……
あんまり踏み込んだらいけないのかも。
「いや、別に大丈夫だって」
「そう、ですか?」
「ああ」
それなら良かった……。
もう少し詳しく知りたいし、ここで色々と教えてもらおう。
「それで、『死神』についてだけどな」
「はい」
難しい話かもしれないから、
ちゃんと聞いておかないと……
「簡単に言うとだな〜」
「は、はい」
なんだか、妙にドキドキしてきた……。
「死に関係している神様ってことだぜ♪」
「え、それって……」
そのままじゃない!
「ははは」
「笑うところじゃないですよ……!」
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