携わっている職業。










それは確かに「死神」だけど、
ディーノさんは、心から「死神」ではない気がする。

人柄もそうだし……
何より、私自身があまり怖がっていない。





『こいつには手を出さないでもらおうか』





「……あのときのディーノさん、カッコよかったな」


あっ、いつもカッコよくないわけじゃないんだけど!
むしろいつもカッコよくて、優しくて、それで……






「……『それで』?」


私、もしかして……










「……ううん、きっとそうなんだ」


私は……

ディーノさんのことが、好きなんだ……。




でも、彼は死神で私は人間。
根本的に違う存在だ。





『好きって気持ちは止められないわよ』






「……こんなことも、お母さんに言われたっけ」


確かに、そうかもしれないね……。










「それにしても、」


ディーノさんに魂を渡したら、私はどこに行くんだろう?

天国? それとも地獄?





「けど、そうだな……」


できれば、ディーノさんのいる所に行きたいな。


ディーノさんって普段はどこにいるのかな?
死神の世界とか、あったりするんだろうか……










「……なんだか、疑問ばっかり」


なんて考え事をしていたら、
また誰かにぶつかってしまった。





「……!」


この間のことを思い出し、つい身構えてしまったけれど。











「まーた考え事してたのか? 危ないからほどほどにな」

「え……?」


聞こえてきたのは、とても安心する……
大好きな声だった。





「ディーノさん!」

「よっ」


ディーノさんにぶつかっちゃったんだ……!





「す、すみません!」

「オレは平気だって。
 でもあんまり考え事しながら歩くなよ?」


そうだよね……

いつもいつも、タイミングよく
ディーノさんが来てくれるわけじゃないし……。










「まあ、そんなところだな」

「……心、読みました?」

「悪りぃ、つい」

「もう!」


でも、それが「嫌だな」って思わないんだよね……
普通だったら、心を読まれるなんて嫌なのに。


きっとそれも、ディーノさんの人柄なんだろうな。

ふいに心を読まれたりするけれど、
毎回ってわけじゃないし。



今も、きっと……
私が笑っていられるように、あえて読んだのだろう。





「…………」


だからこそ、私は……
そんなディーノさんを好きになった。










「……ディーノさん」

「ん?」

「私は……死んだらどこに行くんですか?」

「……!」


私は……





「私は、ディーノさんのいる所に行きたいんです……」


だって、あなたのことが……好きだから。





……」

「天国でも地獄でも、どこでもいいんです。
 ディーノさんと一緒なら寂しくないし……」

「…………」

「……ご、ごめんなさい、変なこと言って!」



なんだか恥ずかしくなってしまって、
それを誤魔化すように私は走り出した。










「あっ、おい! !」

「なんにも聞こえません!」

「いや、聞こえてるだろ!」


ディーノさん、追いかけてくる……!

私は必死で逃げていたものの、すぐに追いつかれてしまう。










「つかまえた」

「ディーノさん、足速すぎですよ……」

「リーチの差だろ?」

「失礼ですね!」

「ははっ」


こんな、他愛もないやり取りなんて、
普通の人たちと変わらないのにな。


こんな日々がずっと続けばいいのに、と、
私は願ってしまうのだった。











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