凝り固まった死神像。
なんだか、私の中では死神=ディーノさん……
っていうイメージが付いちゃっている気がする。
「でも、もしかすると……
ディーノさんが特殊なのかも?」
ただの想像なんだけど……
そういえば、他の死神さんには会ったことないけど、
「お前がかぁ?」
「え……?」
ふいに名前を呼ばれ、振り向いてみると。
銀色の長い髪を持つ、鋭い目つきの男の人が立っていた。
それにしてもこの人、なんだか少し雰囲気が……
「……!」
――そうだ。
どことなく、雰囲気がディーノさんと似ている。
「あ、あの」
「ん゛ん?」
「あなた、もしかして……死神?」
「……!」
銀髪のお兄さんは、驚いたようだった。
「……思ったよりは鋭いみたいじゃねぇか」
「じゃあ、やっぱり……」
「俺はS・スクアーロ。お前の言う通り死神だぜぇ」
「すぺるび……」
でも、ディーノさんとは全然違うタイプみたい。
「奴みたいな死神の方が珍しいんだよ」
「……心読みましたね?」
「フン、俺は奴ほど優しくねぇからなぁ。
使える能力は大いに利用するぜ」
う〜ん、確かに見た目からしてそんな感じの人かも……
……あっ!!
「何が『心読まれてるんだった』だぁ。
気づくのが遅せぇんだよ」
「なんだかやりにくい人ですね、スクアーロさんって」
「よく言われるぜぇ」
やっぱりそうなんだ……。
+++
「ところで、スクアーロさんは何故ここに?
お仕事ですか?」
そう問われ、オレは跳ね馬とのやり取りを思い出した。
『スクアーロ……
オレやっぱり、を助けたい』
『……あの文献読んだだろうがぁ』
『本当にあの方法で……助けられると思うか?』
『……あ゛ぁ』
『そうか……』
「……まぁ、様子見ってとこだ」
「様子見? いったい何を……」
「言えねぇ」
何なんだ、こいつ。
好奇心旺盛なのかぁ?
「そっか、お仕事ですもんね。
企業秘密も、きっとありますよね……!」
「…………」
跳ね馬が惚れた女、か。
普通のガキっぽいけどなぁ……
「スクアーロさん、スクアーロさん」
「ん゛ん?」
「ディーノさんについて教えてください」
「はぁ?」
今度は跳ね馬について教えろだぁ?
「だって……気になるじゃないですか」
「なんでだよ」
「そっ、それは……秘密です!」
まさか、こいつ……
「(危ない……
ディーノさんのこと好きだって、バレちゃうところだった)」
オレが容赦なく心を読むことを忘れているのか、
はそんなことを考えていた。
「…………チッ」
跳ね馬には、とりあえず黙っとくかぁ……
「う゛お゛ぉい」
「はい?」
「お前、奴の言うことちゃんと聞けよぉ?」
「え……?」
オレが唐突に言ったことに対し、急に不安そうな顔をした。
――やはり、見かけによらず鋭いところはある。
「仮に無茶なことを言ってきても、だ。
奴の指示に従っとけぇ」
「無茶? 何の話ですか……?」
「……平気だ、お前に害は無ぇよ」
こいつが跳ね馬に惚れてるとなると、
あの方法は難しくなるかもなぁ……。
「……じゃあなぁ」
「あっ! スクアーロさん……!」
「あとはお前たち次第だぁ……」
+++
「……行っちゃった」
それにしても、「無茶」って何だろう……
ディーノさんはこれから、
何か危ないことをするつもりなの……?
「……なんだか、嫌な予感がする」
自分が死ぬことよりも、もっと哀しい……
そんな未来が待ってるような……。
この嫌な予感が、
私の思い過ごしであればいいのに。
――そう思う一方で、また。
別れの日が近づいていることを、私は本能的に感じ取っていた。
「そんなの……嫌だよ……」
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