遙かシリーズが十周年とのことで、お祝いをしようと思います。
でも一人一人やるのは大変だし
みんなのスケジュール(?)が合わなかったので
とりあえず月ごとに集まってもらうことにしました。
2010.11 秋月千夜
「…………ということで、あたしが皆さんを集めました!」
十一月某日、都内某所にて。
ここに、十一月に誕生日を迎える面々が集められていた。
管理人である秋月千夜は、その旨を彼らに伝える。
「なるほど……俺たちは、あなたの言う通りにすればいいんですね」
「うん、まあそんな感じだよ、風早!」
風早の言葉に、いつも通り元気よく答える管理人。
「十年を祝う祭りか……なんだか面白そうだな」
「九郎もそう思うでしょ!?」
源九郎義経は何やら企画を祭りと勘違いしているようであるが、
管理人もノリノリで答えているので誰もつっこまない。
「何事も節目を祝うというのは素晴らしいことです」
最後に口を開いたのは、穏やかな口調の大伴道臣。
どうやら彼も、祝うことについては賛成のようだ。
「ですが、具体的な方法などどうするのでしょうか」
「確かに、何をどうやって祝うのか解らないな……」
そうして頭を抱えてしまった道臣と九郎の二名。
そんな中その隣でにっこり笑っていた風早が、管理人を見て言った。
「まあまあ、二人とも。
きっと詳細については、こちらの方が説明してくれるはずだから」
「それもそうですね」
「ああ、言われてみればな」
風早の言葉に納得したもようの二人。
管理人は自分のセリフを取られた気がしなかったわけでもないが、
とにかく詳しい説明をすることにした。
「じゃ、改めて……詳細を説明しちゃいますね!」
そうして管理人は、お決まりのボードを取り出す。
そして、一部分を隠している紙をめくって言った。
「十一月生まれへの指令:歌手になりきれ」
指令を見た後、一行は場所を移した。
管理人が権力を行使して用意したあの大きな館である。
今回も、ここから扉を開けてそれぞれの道へ進むらしい。
「着替えも済みましたね!
うん、皆さん似合ってます♪」
三人はこれから異世界に行き、歌手になりきるのだという。
よって、服装もそれに見合うものに着替えていた。
「これが望美たちが居た世界の着物なのか?」
そう言いながら己の纏っている洋服を物珍しそうに見る九郎。
どうやら現代のものに興味津々のようである。
「いやぁ懐かしいですね、この世界の格好も」
数年間を現代で過ごしていた風早にとっては、
その洋服も懐かしさを感じさせるもののようだ。
「これで準備は整ったのですね」
「はい、道臣殿!」
確認を取った道臣に、管理人も返事をした。
「皆さんにはこれから現代に言って、歌手……
つまり、歌を歌う職業に就いてもらいます」
「それは困ったな……俺は歌が苦手なんだ」
「大丈夫だよ、九郎の考えてる『歌』とは違うから」
「そ、そうなのか?」
むしろ上手だから大丈夫だと言いたいのを我慢し、管理人は説明を続ける。
「皆さんには、さんの仕事仲間として過ごして頂きます」
「殿と?」
「はい」
聞き返してきた道臣に向かって、管理人も頷く。
「とりあえず、歌についてはなんとかなるようになってますから。
安心して、さんの仕事仲間として過ごしてきてください」
「解りました」
返事をしたのは風早だが、他の二人もどうやら承知したようだ。
「それじゃ、向こうに続く場所まで案内しますね!」
そう言いながら、管理人は三人を扉が並ぶ場所まで案内した。
「ここに二つの扉がありますが、
皆さんにはそれぞれ別の扉を開けてもらいます」
「どの扉を開ければよいでしょうか」
「はい、九郎が左の扉、風早と道臣殿が右の扉ですね」
「解った」
一通り説明をした管理人は、最後に言った。
「それでは、皆さん。歌手として行ってらっしゃい!!」
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