遙かシリーズが十周年とのことで、お祝いをしようと思います。
          でも一人一人やるのは大変だし
          みんなのスケジュール(?)が合わなかったので
          とりあえず月ごとに集まってもらうことにしました。

                          2010.12 秋月千夜




















          「…………ということで、あたしが皆さんを集めました!」



          十二月某日、都内某所にて。
          ここに、十二月に誕生日を迎える面々が集められていた。
          管理人である秋月千夜は、その旨を彼らに伝える。










          「ということは、我々はあなたの指示に従えばよいのですか」

          「そうですね、鷹通さん!」



          藤原鷹通の言葉に、いつものごとく元気よく答える管理人。











          「十年を祝う、か。確かに兵たちの心を一つにするためにも
           必要なことかもしれないな」

          「う、うーん……そう、だよね。
           そうだよね、忍人!」



          若干頷きづらかった管理人だったが、
          ここはあえて葛城忍人の言葉に同意しておく。
          















         「まあ、なんや面白そうやないの。ええんちゃう?」



          方言交じりで明るく言葉を発したのは、夕霧だ。
          彼女――否、彼も彼でノリノリのようである。
















          「それで、具体的にはどうするのでしょうか」

          「うん、じゃあ、とっとと詳細を説明しちゃいますね!」



          そうして管理人は、お決まりのボードを取り出す。
          そして、一部分を隠している紙をめくって言った。















          「十二月生まれへの指令:医師になりきれ」
















































          指令を見た後、一行は場所を移した。
          管理人が権力を行使して用意した例の大きな館である。
          今回も、ここから扉を開けてそれぞれの道へ進むらしい。















          「着替えも済みましたね!
           うん、皆さん似合ってます♪」



          三人はこれから異世界に行き、医師になりきるのだという。
          よって、服装もそれに見合うものに着替えていた。










          「これが、神子殿たちがいらした世界の着物……」



          そう言いながら己の格好をまじまじと見つめる鷹通。
          どうやら、現代の服装が珍しくて仕方がないらしい。
          















          「なんやかわいい着物やね」



          そう言いながら、自分が纏っているナース服を見て機嫌を良くする夕霧。










          「待ってくれ夕霧、君は確か……」

          「なんか文句あるん?」

          「あ、いや……いいんだ、気にしないでくれ」



          もろもろの事情で夕霧の正体を知っている忍人はつっこみたかったが、
          何故かそのときの夕霧には物凄いオーラが漂っていたため、
          そこであえて言葉を飲み込んだ。















          「とにかく、これで準備は整ったのですね」

          「はい、鷹通さん!」



          確認をしてきた鷹通に、管理人も返事をした。



















          「皆さんにはこれから現代に言って、お医者さんになりきってもらいます」

          「薬師ですか」

          「そうですね」



          確かに「薬師」と言った方が解りやすかったか、
          などと思いながらも、管理人は説明を続ける。










          「皆さんには、調子の悪いさんを看てもらいます」

          「を?」

          「うん」



          聞き返してきた忍人に向かって、管理人も頷く。















          「いや、そんな大げさなことじゃないからね?
           風邪とかだから、せいぜい」

          「そうなん?けどあたし病の知識とか無いで?」

          「その辺も大丈夫なようになってるよ」



          他の二人も同じことを考えていたらしく、
          管理人の言葉を聞いてホッとしたような表情をした。

















          「それじゃ、向こうに続く場所まで案内しますね!」



          そう言いながら、管理人は三人を扉が並ぶ場所まで案内した。







































          「ここに二つの扉がありますが、
           皆さんにはそれぞれ別の扉を開けてもらいます」
 
          「どの扉を開ければええんかな」

          「うん、鷹通さんが左の扉、夕霧と忍人が右の扉ね」
        
          「解った」



          一通り説明をした管理人は、最後に言った。















          「それでは、皆さん。医師として行ってらっしゃい……
           …………って、何これ!?



          管理人が叫ぶとほぼ同時に、なぜか扉がもう一つ現れた。















          「フフフ……管理人よ、私を忘れているぞ!」

          「ゲッ、アクラム!」



          わざと呼ばないでおいたのに出てきたよ!!



          そんな管理人の言葉など、アクラムは全く受け付けない。















          「私はこの中央の扉を使い、のもとへ向かう」

          「ちょっ!勝手なことすんな!待て、アクラムーーー!!」











          → 左の扉

          → 真ん中の扉

          → 右の扉



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