遙かシリーズが十周年とのことで、お祝いをしようと思います。
でも一人一人やるのは大変だし
みんなのスケジュール(?)が合わなかったので
とりあえず月ごとに集まってもらうことにしました。
2010.6 秋月千夜
「…………ということで、あたしが皆さんを集めました!」
六月某日、都内某所にて。
ここに、六月に誕生日を迎える面々が集められていた。
管理人である秋月千夜は、その旨を彼らに伝える。
「あんたが案内役ってことか?」
「その通りだよ、サザキ!」
サザキが聞き返すと、いつものように管理人は元気よく答える。
「なるほど……なかなか興味深そうだね」
「ですよね、友雅さん!」
「私も友雅殿と同じ考えですわ」
「さすが藤姫!」
なかなか乗り気である橘友雅と藤姫の1コンビ。
「我々は、そのようなことをしてる場合ではないのだが」
刺々しい言葉を放ったのは、藤原深苑。
いかにもな不機嫌オーラを出しまくっている。
「兄様、そのようなことをおっしゃらないでください。
せっかくのめでたい席なのですから」
そう言って兄・深苑を宥めているのは、双子の妹である紫。
可愛い妹に弱い深苑は、うっと言葉を詰まらせる。
「紫姫のおっしゃる通り、ここは皆で祝うのも
良いのではないでしょうか」
紫姫の言葉に同調したのは、源泉水。
普段から温厚な性格ゆえ、ここでも穏健な意見を述べる。
「で、とにかく僕たちはお姉ちゃんについてけばいいんだよね?」
「そうだよ、シャニ☆」
この大人数の中で最後に口を開いたのは、常世の若雷・シャニ。
どうやらシャニも、既に祝う気満々のようである。
「じゃ、とりあえず説明していきますね」
管理人は、毎回持ち出している例のボードを取り出す。
そして、一部分を隠している紙をめくって言った。
「六月生まれへの指令:会社の同僚になりきれ」
指令を見た後、一行は場所を移した。
管理人が権力を行使して用意したあの大きな館である。
どうやら今回も、ここから扉を開けてそれぞれの道へ進むらしい。
「着替えも済みましたね!
うん、皆さん似合ってます♪」
七人はこれから現代に行き、会社の同僚になりきるのだという。
よって、服装もそれに見合うスーツ等に着替えていた。
「これが神子の世界の着物ですか……とても不思議ですね」
泉水がきょとんとした顔で自らの格好を鏡越しに見ている。
控えめな彼にしては、珍しく興味津々のようだ。
「しかし、少し窮屈な気もするね」
「ですがこれが正しいお召し物だそうですから、
少しは我慢してください、友雅殿」
「兄様、私きちんと着替えられていますか?」
「ああ、心配はいらない」
それぞれ四人がそんなことを言い合っている。
「で、これを着て姫さんが過ごしてた世界に行けばいいのか」
「その通り!」
「千尋お姉ちゃんにも会えるの?」
シャニの言葉を受け、管理人が大切なことを最後に補足する。
「残念ながら、確実に千尋に会えるかは解んないけど……
さんには会えるからね」
「お姉ちゃんに?」
「うん、そうだよ!」
の名前で先ほどの倍、笑顔になったシャニ。
そんな彼に向かって、管理人も力いっぱい答える。
「シャニだけじゃなくて、他の皆さんも同様
向かった先の会社では、さんの同僚になってもらいます」
「様の、ですか……解りましたわ」
「特別やってもらわなきゃならないことはないんだけど、
さんの同僚としてしっかりやってきてくださいね」
「はい、承知いたしました」
管理人の言葉に、泉水を初め皆が頷き返す。
「じゃ、向こうに続く場所までご案内します!」
そう言いながら、管理人は七人を扉が並ぶ場所まで案内した。
「ここに三つの扉がありますが、
皆さんにはそれぞれ別の扉を開けて頂きます」
「私はどの扉を開ければいいのかな」
「友雅さんと藤姫が左の扉、
泉水と紫姫、深苑が真ん中で、サザキとシャニは右」
「うん、解ったよ!」
一通り説明をした管理人は、最後に言った。
「それでは、皆さん。会社の同僚として行ってらっしゃい!!」
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