遙かシリーズが十周年とのことで、お祝いをしようと思います。
でも一人一人やるのは大変だし
みんなのスケジュール(?)が合わなかったので
とりあえず月ごとに集まってもらうことにしました。
2010.7 秋月千夜
「…………ということで、あたしが皆さんを集めました!」
七月某日、都内某所にて。
ここに、七月に誕生日を迎える面々が集められていた。
管理人である秋月千夜は、その旨を彼らに伝える。
「俺たちはお前の指示に従えばいいってことか?」
「うん、イサトくんの言う通りだよ!」
イサトの言葉に対し、いつものように管理人は元気よく答えた。
「十年を迎えられたことに、感謝しなければなりませんね」
「そうだよね、永泉さん」
「感謝も込めてお祝いっていうのは、俺もいいと思います」
「おっ、譲も賛成してくれる?」
十周年という事実を真摯に受け止めている永泉と有川譲。
どうやら、イサト含めこの企画には乗り気らしい。
「何故私が下賤の者のために祝わなければならないのだ!」
一人だけ機嫌が悪くそう言い捨てたのは和仁。
他人のために祝い事をするのが、とても不服なようだ。
「まあまあ、和仁親王、落ち着いてください」
セフルに続く厄介なキャラだな、と思いつつ、
管理人はなんとか和仁を宥めようとする。
「うるさい!お前のような下賤の者の話など聞きたくない」
なかなか手ごわそうな相手であるが、管理人にも何も策がないわけではない。
そんなわけで、とっとと本題に入ることにした。
「じゃ、とりあえず説明していきますね!」
管理人は、毎回持ち出している例のボードを取り出す。
そして、一部分を隠している紙をめくって言った。
「七月生まれへの指令:作家になりきれ」
指令を見た後、一行は場所を移した。
管理人が権力を行使して用意した例の大きな館である。
やはり今回も、ここから扉を開けてそれぞれの道へ進むらしい。
「着替えも済みましたね!
うん、皆さん似合ってます♪」
四人はこれから現代に行き、作家になりきるのだという。
よって、服装もそれに見合うものに着替えていた。
「なんか変な感じがするよなぁ……」
イサトが不思議そうに自分の纏っている服を見ている。
初めて着る異世界の服に、違和感があって仕方がないようだ。
「私の着物は、これで良いのでしょうか……」
「大丈夫ですよ、永泉さん」
心配そうにする永泉に向かって、譲がそう答えた。
譲はもともと現代に居たから、もちろんきちんと洋服を着こなしている。
「だから、何故私がこのような格好をしなければならないのだ!」
無理やりこの館に連れてこられたこともあり、怒りが爆発寸前の和仁。
そんな彼に向かって、管理人はやれやれと話し始める。
「和仁親王、これから向かう世界では
あなたたちにはさんと共に仕事をして頂きます」
「何だと……?」
の名前を聞いたとたん大人しくなった和仁。
セフルのときと同じ状況に、管理人はこっそり笑った。
「でも、仕事って……どんな仕事なんですか?」
「うん、簡単に言えば皆さんには作家さんになってもらうの」
「作家……とは?」
「そうですねぇ……まあ色々あるんだけど、今回は物語を書く仕事、ですかね」
譲や永泉の問いかけに対し、答えを返していく管理人。
「っつーことは……まとめると、
俺たちはと一緒に物語を書く仕事をするってことか?」
イサトがそう言うと、管理人は大きく頷いた。
「でも、書くのは皆さんですからね。
さんはあくまでサポートですから」
「そ、そうなのか……」
少々焦るイサトに対し、管理人は続ける。
「大丈夫、向こうでは色々うまくいくようになってるから」
「そっか、それならいいや!」
「そんなわけで……和仁親王もやってくださいますよね?」
「…………仕方がない」
の効果は絶大のようで、
先ほどまであれだけ騒いでいた和仁があり得ないほど静かになった。
「じゃ、向こうに続く場所までご案内しますね!」
そう言いながら、管理人は四人を扉が並ぶ場所まで案内した。
「ここに三つの扉がありますが、皆さんにはそれぞれ別の扉を開けて頂きます」
「誰がどの扉を開ければいいんだ?」
「永泉さんが左の扉、イサトくんと和仁親王が真ん中、譲は右」
「解りました」
一通り説明をした管理人は、最後に言った。
「それでは、皆さん。作家として行ってらっしゃい!!」
→ 左の扉
→ 真ん中の扉
→ 右の扉
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